interview

心と身体の豊かさは、良いものを食べることから

はじまるのではないか・・・
「よし、食べ物を作ろう」

そう考えてこの職業に就きました。
いろんな人のかけがえのない人生。


それを食から支える。そのために何ができるか。
イチカワトモヒロ農場のことを
ここで少し知ってもらえたら嬉しいです。

Q1.

農業の道を選んで18年経ちましたが、
率直にどう感じていますか?

農業の道を選んで
18年経ちましたが、
率直にどう感じていますか?

市川

市川:

正直に申しますと、


「まだ何も分かっていない」というのが率直な感想です。
18年経った今でも、農業のことは全く分かりません。

これは、⾃然を相⼿にしているからだと思います。
よく「⾃然との戦い」や「⾃然との共⽣」という⾔葉を使いますが、


私はそのどちらも使いません。
⼈間が⾃然と戦って勝てるわけがないし、そもそも農業⾃体が


⾃然破壊から始まる⾏為だからです。
だから、私はただ「受け⼊れる」だけだと思っています。

天候⼀つとっても、毎年同じということはありません。
⼈間がコントロールできる領域をはるかに超えている。
だから、何年経っても「分からない」という感覚は


なくならないのだと思います。
終わりがない、ゴールがない世界ですね。

Q2.

『⽣きるとは⾷べること』というメッセージにたどり着くまで、
『⽣きるとは何だろう』と考えられたそうですが、
当時のことを詳しく教えていただけますか?

『⽣きるとは⾷べること』というメッセージにたどり着くまで、『⽣きるとは何だろう』と考えられたそうですが、当時のことを詳しく教えていただけますか?

市川

市川:

私は何をするにしても、⽬的がないと動けないタイプなんです。
必ず「これをやる⽬的は何か」というのを設定します。
ですから、会社を設⽴して事業を運営するにあたっても、当然、


事業の⽬的を定めました。
それが、ビジョンやミッションになっています。
その中で「⽣きるとは何だろう」と考えたとき、


⾏き着いたのが「⾷べること」でした。
そして、農業はその「⾷」の根源にあります。
また、農業を通じてお客様に感謝していただけることが、


私の⼤きなモチベーションになっています。
経営者としては売上よりも利益を重視すべきなのかもしれませんが、


私にとって売上というのは、どれだけ多くの⽅に我々の作ったものを届けられたか、どれだけ社会に影響を与えられたかの指標だと考えています。
だからこそ、その根幹にある理念を⼤切にしています。

Q3.

『農業は⼈の根源に訴える』
と感じられた経験について教えてください。

『農業は⼈の根源に訴える』と

感じられた経験について

教えてください。

市川

市川:

農業を始めてから、⼈間の五感、あるいは第六感のようなものが


⾮常に研ぎ澄まされてきたと感じます。
例えば、天候や湿度、気温、⾵の向きや強さといった⾃然環境の


変化に、とても敏感になります。
雲の動きを⾒て「もうすぐ⾬が降りそうだ」と予測したり、


⼟の匂いや機械の⾳のわずかな違いから、いつもと違う状況を察知したり。
そうした感覚は、都会で⽣活していると感じにくいものかもしれません。
かつての⼈々は、そうした知恵や感覚をもっと持っていたはずです。
異変に気づけるかどうか。この感覚こそが、⼈間の根源的な⼒と


繋がっている部分だと感じています。
作物や畑が発するサインを読み取れなければ、良いものは作れません。
⽇々の作業の中で、そうした「違和感」や「変化」に気づけるかどうかが


⾮常に重要で、その積み重ねが農業の奥深さなのだと思います。

Q4.

海外視察に⾏かれたり、
幅広いジャンルの本を読まれたりしていますが、
学び続けている理由は何ですか?

海外視察に⾏かれたり、幅広いジャンルの本を読まれたりしていますが、学び続けている理由は何ですか?

市川

市川:

⼀番の理由は「その⽅が⾯⽩いから」ですね。
毎年同じことを繰り返すだけでは、⾯⽩くない。
常に新しい課題を⾒つけて、それをどうクリアしていくかを


考えるのが好きなんです。
もちろん、より良いものを作りたいという思いが根底にあります。
現状に満⾜せず、もっと良いものを作るためにはどうすればいいか。
そのためのヒントを求めて、海外の事例を学んだり、


本を読んだりしています。
この探求には終わりがないので、⾃然と学び続けることになりますね。

Q5.

イチカワさんのもとだからこそ
経験できることは何だと思いますか?

イチカワさんのもとだからこそ
経験できることは
何だと思いますか?

市川

市川:

「⾃分で考える⼒」が⾝につくことだと思います。
私⾃⾝、以前の職場でそういった育てられ⽅をしました。
具体的なやり⽅を⼀つひとつ教わるのではなく、


「ゴールはここだ」と⽰されて、そこに⾄るプロセスは


すべて⾃分で考えて実⾏してきました。
試⾏錯誤の連続でしたが、その経験が今の⾃分の基礎になっています。
ですから、うちで働く⼈にも同じように、常に


「なぜこの作業をするのか」「どうすればもっと良くなるのか」


を考えてほしいと思っています。
ただ⾔われたことをこなすのではなく、⾃ら考えて⾏動する。
その機会は、どこよりも多く提供できると⾃負しています。

Q6.

他には絶対に負けない、
これだけは譲れないといった
「こだわり」はありますか?

他には絶対に負けない、
これだけは譲れないといった
「こだわり」はありますか?

市川

市川:

こだわりが「ない」こと、ですね。特定のやり⽅に


固執することはありません。
私の基本スタンスは、うまくいっている⼈のやり⽅を


徹底的に真似すること。
オリジナルであることには、あまり価値を感じていません。
様々な成功事例を学び、それらを⾃分なりに組み合わせて、


より良い⽅法を探していく。
ですから、譲れないポイントをあえて⾔うなら、


「常により良い⽅法を模索し、変化し続けること」です。
⼿段にこだわるのではなく、⽬的を達成するために


柔軟でありたいと思っています。

Q7.

イチカワトモヒロ農場の
今後の展望を教えてください。

イチカワトモヒロ農場の今後の展望を教えてください。

市川

市川:

うちで働いてくれた⼈が、将来「⼈間として強くなる」こと。
それが⼀番の展望です。
ここで働くことを通じて、先ほどお話ししたような


「考える⼒」や、⾃然と向き合う中で養われる「感覚」、


そして困難な課題を乗り越えていく「精神的な強さ」を


⾝につけてほしい。
そうやって成⻑した「強い⼈間」を、⼀⼈でも多く社会に


送り出していくことが、この農場の未来の姿だと考えています。

株式会社 イチカワトモヒロ農場

〒061-0206 石狩郡当別町川下2908番地